Question.
胡粉には「金鳳」「白雪」など色々な種類がありますが、どう違うのですか?また、牡蛎胡粉と蛤胡粉の違いは何ですか?Answer.
胡粉とは「胡」の粉、と言う意味で、元来は別段貝殻の粉をさすものではなかったようです。「胡粉」は古代の中国で「胡人(シルクロードを経てやってきたイラン、ペルシャなどの外国人)」によったもたらされた良質の白い粉を珍重した事から、この名がつきました。世界の地域を問わず最も入手しやすい白い粉は白亜ですが、本邦では入手しやすい貝殻粉を白に利用し、その利便性が広く認識されるようになると、いつしか胡粉の名自体が貝殻粉をさすようになってしまいました。 ホルベインの胡粉は蛤を原料としていますが、天然のイタボ牡蛎を原料としているメーカーもあります。イタボ牡蛎は二枚貝で、私達が食べている貝の身の載った身部と、それを覆っている蓋部からなっています。肉厚のある蓋部ほど白さが鮮やかで、かつ雄々しい胡粉になります。身部は逆にまろやかな白になり、繊細な胡粉になります。 原料の牡蛎の蓋部と身部の混合比率によって等級がつけられ、蓋部の多いものほど上級品とされています。「金鳳」は肉厚の蓋部のみで作られ、「白雪」は肉薄の蓋部を原料に作られます。 今日、天然のイタボ牡蛎は激減しており、特に蓋部の肉厚あるものは手に入れ難い希少品になっています。 胡粉にする貝殻には蛤や牡蛎が用いられましたが、蛤の粉は非常に硬くて砕きにくく、ザラザラしているため、もっと軟らかくて砕きやすい牡蛎の粉の方が愛用されました。これが現代に至っている訳です。 しかし、牡蛎の炭酸カルシウムがカルサイト構造であるのに対し、蛤の炭酸カルシウムはアラゴナイト構造で屈折率が大きく、従って高白色度です。つまり「牡蛎胡粉よりも蛤胡粉の方が白としての性能は優れている」のです。ホルベインが胡粉の原料として蛤を採用したのはこの理由によっており、牡蛎胡粉の明度が95 以下であるのに対し、蛤胡粉は97に達します。 メキシコ産の蛤は肉厚で白い部分が多く、優れた白が得られ、宮崎産の方はそれよりもやや色がついています。そこでホルベインの胡粉は両者をブレンドし、その混合比によって「白鷺・白妙・白雪」を得ています。 前述の通り蛤胡粉は非常に硬くて砕けないため、牡蛎胡粉と同じ粒径で「空擦り」をご使用者に委ねると、結果的には望ましい粒径にまで至りません。そこでホルベインの胡粉は、あらかじめ「牡蛎胡粉を空擦りして砕いた後の粒度」にまで砕いておき、違和感をなくしてあります。従ってホルベインの胡粉は空擦りする必要はありません。 また粒度分布もそれと同様で、牡蛎胡粉が大小の粒子あるいは棒状や球状粒子の混在であって山裾の広い粒度分布を示し、空擦りして砕いた後にやっと狭い粒度分布になるのに対し、ホルベイン製は最初からその粒度分布にしてあります。

